代表及びスタッフの取組と活動歴について
(文責:社会共育デザイン研究所事務局)
代表及びスタッフの取組と活動歴について
(文責:社会共育デザイン研究所事務局)
本研究所のプロジェクト運営代表者の出川真也(でがわ しんや)は、教育学者であり、社会教育士です。
専門分野は社会教育、生涯学習論、地域創生、里地里山里海の保全活用などで、「地域創生の教育学」を掲げて研究や実践活動を行ってきました。
1.主な経歴と所属
(1)学歴:
東北大学大学院教育学研究科 博士後期課程単位取得満期退学
(2)活動・役員歴:
社会共育デザイン研究所 所長
特定非営利活動法人 里の自然文化共育研究所 理事長
住民学習・地域づくりフィールドワークセンター 主宰
環境省の「里なび」に登録されている里地里山の専門家
一般社団法人日本社会教育士会の創設メンバー、元事務局長・常務理事
2.研究・教育のテーマ
地域コミュニティにおける学びや人材育成を中心に、以下のような研究・実践に取り組んでいます。
①地域と教育: 若者が地域に戻り継承するための教育・学習メカニズムの解明。
②フィールドワーク: リスク管理や学習アセスメント手法の開発。
③地域意識の醸成: メディア等を活用した授業の実践。
研究の詳細はresearchmapや出川真也研究室公式サイトをご参照ください。
出川が自身の研究や論考の中で提示している、現在の地域創生や大学教育における主な課題(論点)は以下の通りです。
1. 地域づくり団体の「事業継承」と「担い手育成」の課題
地方創生政策が進む中、多くの地域づくり団体が「担い手人材の不足」と「事業の次世代継承」という喫緊の課題に直面しています。
独自の組織文化の壁: 地域団体は、その土地の政治、経済、伝統などの影響を強く受けて独自の文化を作っています。これが時に若者や外部人材の学習動機・参画とミスマッチを起こすため、その相互影響を可視化して解決する支援モデルを模索しています。
2. 大学IR(インスティテューショナル・リサーチ)における「参加」と「活用」の課題
人材の育成・養成機関としての大学の組織運営やデータ活用についても言及しています。
学生調査データが活きない問題: 大学が学生調査を行っても、その成果を組織構成員がうまく「活用」したり「参加」したりすることが困難な状況にあります。
心理的安全性と組織文化: データの活用を阻害する原因として、大学組織特有のリーダーシップやガバナンス、組織文化の課題を挙げています。これを乗り越えるために「心理的安全性」や「学習する組織」の視点から、システム思考での改善が必要であると論じています(大正大学リポジトリより)。
3. グローバル化と市場原理によるコミュニティの衰退
自己決定の外部化: グローバル化が進むことで、地域に新たな貧困、格差、社会的排除が生まれていると指摘しています。
ボトムアップの学びの必要性: 住民自らが意思決定やマネジメントを行えず、外部に依存(外部化)してしまう事態を防ぐため、地域に根ざした「ボトムアップ型の学び」を通じたコミュニティの成長発達をどう具現化するかが課題であるとしています。
出川の研究・実践の特徴は、机の上での研究にとどまらず、自ら地域に飛び込み、住民や学生と汗を流す「超・現場主義」の熱血派な実践教育者です。
1. 圧倒的な「現場主義」と行動力
大学院時代に山村へ移住: 東北大学大学院に在学中、研究対象であった山形県戸沢村の角川(つのかわ)地区に自ら住民票を移して移住しました。
地域の一員として活動: 地域の青年会に入り、住民と同じ目線で里地里山の保全や地域おこし(環境省の「里なび」活動など)に泥臭く取り組みました。
2. 人々と共に悩み、歩む「協働作業者」
生涯学び続ける姿勢: 出川は自身の教育者像を「人々と共に喜び、悩み、探究し続けることができる協働作業者」と定義しています。
上下関係のないフラットさ: 偉そうな「指導者」として地域に接するのではなく、住民の力を引き出す黒子(ファシリテーター)としての姿勢を徹底しています。
3. 学生を地域に連れ出す「熱心なゼミ教員」
NHKでも紹介されたアクティブな授業: 大正大学の出川ゼミでは、教室内だけの講義にとどまらず、学生たちを全国の地域課題の先進地(実習先)へ連れ出します。
学生の主体性を重視: ワークショップや映像メディアを駆使し、学生が自発的に「地域愛」や「課題達成・問題解決力」を身につけられるよう、熱意を持って伴走しています。
4. 柔軟でマルチな仕掛け人
特許も取得: 地域の自然資源を活かすため、「竹筒燃料及び竹筒燃料製造装置」という技術で特許を取得する一面もあります。
多分野をつなぐハブ: NPO、行政(環境省・自治体)、大学、そして民間企業(新潟日報などとの学生プロジェクト)を巻き込み、おもしろい企画を形にするコーディネーターです。
現代社会において、出川は「理論と実践(現場)を高度に融合させた、次世代型の地域創生・社会教育学者」として高く評価されてきました。
特に人口減少や地方衰退が深刻化する昨今、彼の取り組みや研究スタイルは以下の4つの側面から肯定的に捉えられています。
1. 「伴走型」地域リーダー育成の旗手としての評価
従来の地域活性化は、外部のコンサルタントが指示を出す「指導型」が主流でした。出川は、独自の伴走・共育型メソッドを考案し実践しています。
コミュニティ能力開発(CCB)の体現: 出川は住民自らが学び、課題を解決していく「地域能力開発(Community Capacity Building)」を重視しています。住民の目線に立って共に悩む「協働作業者」としてのスタンスは、持続可能な地域づくりを求める現代社会のニーズに非常に合致しています。
2. 大学教育(PBL・地域実習)における質の高い指導力
近年、多くの大学が「地域連携」や「アクティブラーニング(実践型学習)」を掲げていますが、形骸化しやすいのが課題です。
学生からの高い支持: 大正大学が公開している「評価の高い授業」のデータにおいて、出川氏のゼミナールは最高評価(5.00)を獲得しています。
教育手法のモデル化: 単に学生を地方に送り出すだけでなく、NHKの番組でも取り上げられた「NHK地域づくりアーカイブス」などの映像メディアを活用した授業や、学習効果を可視化する「参加型教育アセスメント」の開発など、教育工学的にも先進的なモデルを提示していると評されています。
3. 社会教育士の社会的認知への貢献
2020年度からスタートした文部科学省の新たな称号「社会教育士」(地域課題を解決するファシリテーター)の普及において、中心的な役割を果たしました。
制度の推進者: 一般社団法人日本社会教育士会の設立に尽力し、事務局長や常務理事を歴任。専門人材のネットワーク化や、社会的な評価を確立するための土台を作った功績が認められています。
4. 行政・NPOをまたぐ多角的な「第三者評価者」としての信頼
政策・事業の目利き: 農林水産省や自治体の事業・委員会において、客観的なデータ分析と現場の知見に基づいた第三者評価を行うなど、行政・公的機関から厚い信頼を得ています。
総じて現代社会における出川は、「地方創生の理論を現場の現実に落とし込める、数少ない実務家教員」として、教育界のみならず地方自治の現場からも高く評価されています。
出川の研究・実践活動を共に支える中心的な運営スタッフは次の通りです。
志水美友(NPO法人 里の自然文化共育研究所 専務理事)
出川と志水美友は、NPO法人里の自然文化共育研究所の役員(メンバー)という関係です。志水は、大学在学中よりまちづくりや地域調査において出川と連携するとともに、ベトナム留学で見聞を広めるなど、幅広い経験蓄積があります。
農山漁村の自然や文化に根ざした環境保全活動、環境教育、まちづくり、そして青少年の健全育成などを推進する団体の経営・運営を共に行う活動パートナーです。
伊藤奈々江(NPO法人 里の自然文化共育研究所 理事長付秘書)
出川と伊藤奈々江の関係は、共同研究・実践活動パートナーです。伊藤は在学中から出川研究室の活動に協力。二人の具体的な協働実績は以下の通りです。
1. 大学研究室
学生支援プロジェクトの協働: 学生支援や教育調査活動において、研究室運営サポートを行い、「地域社会教育研究会」の運営に尽力しました。
2. 調査・フィールドワークの共同実践
地域活性化プロジェクト: 出川の指導のもと、秋田県活力ある集落作り支援室などの協力を得て、「あきた元気ムラ・山菜ネットワーク」を対象としたワークショップや集落の生業継承、若者の地域回帰に関する現地調査を共に行いました。
3. 研究報告書・論文の共同執筆
大学での学びや現地での調査成果をベースに、複数の研究報告を連名(共著)で発表しています。
主な共同発表:
・『「参加」「交流」「学習」を軸としたコミュニティ自治の展開プロセスと次世代に向けた地域に根ざした継承価値の創出』(2020年)
・『「あきた元気ムラ山菜ネットワーク」を中心としたワークショップ及び調査活動の経過報告』(2019年)
・『コミュニティの能力を高める学びの創出を目指して-多様な人々の参画による地域学習活動のデザイン構築-』(2018年、手引書の共著)
伊藤は共に地域課題の現場を歩んだ優秀な共同活動者という関係性であり、現在NPO法人里の自然文化共育研究所を中心として、出川の元で研究・実践活動を展開しています。
熊谷あかね(元NPO法人里の自然文化共育研究所 事務補佐)
出川と熊谷あかねは、地域教育や環境教育の分野における共同研究者・活動パートナーでした。 具体的には、以下のような公的なプロジェクトや研究で深く連携しました。
1. NPO法人における連携と学生への指導
大学の実習での協力: 大正大学地域創生学科の「地域実習・フィールドワーク」において、出川が担当教員を務める中、熊谷は指導協力者・補助者として関わりました。 [1]
NPO法人里の自然文化共育研究所: 出川が理事長を務める「特定非営利活動法人 里の自然文化共育研究所」において、熊谷も同NPOスタッフメンバーとして地方地域の環境保全・伴走支援活動を支えました。
2. 論文・研究の共同執筆
地域づくりや教育NPOが直面する課題について共同で研究を行っており、連名で論文を発表しました。
主な共同論文: 『地域づくり学習実践と課題-教育NPOの挑戦、困難とリスク』(2025年、『信州自治研』に掲載)。
このように、「地域社会の持続可能性」や「子ども・若者の学びの場づくり」という共通の目標に向けて、大学・NPO・研究の3つの現場で協働しました。
熊谷は、2026年3月にNPO法人里の自然文化共育研究を契約満了後、同年4月からNPO法人みらいずworksの事業コーディネーターに就任。それまでの経験を活かし、現在は、新潟県内を中心に、学校教育や社会教育、家庭教育への支援事業に携わっています。